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国際物流の市況と見通し【2026年9月】スエズ経由は航路ごとに復帰、ONEは喜望峰回りを継続

2026年9月の国際物流市況は、スエズ運河経由に戻る航路と戻らない航路に分かれた。欧州向けを積む日本の荷主は、船ごとの経路と到着日を書面で確かめ、10月18日までの減便と年内の規制期限を織り込んで10〜12月の船腹を手配したい。

スエズ運河経由は航路ごとの復帰にとどまり、ホルムズ海峡ではコンテナ船の事実上の通航停止が続く(2026年9月15日時点)

2026年9月の国際物流の市況で最も大きな変化は、スエズ運河経由への復帰が船社と航路ごとに分かれたことだ。マースクとハパックロイドは9月14日、ジェミニの4航路をスエズ経由に切り替えると発表し、西航の初便は9月19日に出る予定だ。Linerlyticaによると、ONE(邦船3社のコンテナ船事業会社)は9月14日時点でまだ紅海に戻っていない。

2026年9月15日時点で、コンテナ船のスエズ運河経由は航路ごとの部分的な復帰にとどまる。ジェミニ(マースク/ハパックロイド)はAE11、AE5、ME2の西航初便を9月19日、21日、24日に出す予定で、AE12は日程未定。Linerlyticaによると、エバーグリーン、ONE、HMM、ヤンミンは9月14日時点で紅海に戻っていない。ホルムズ海峡は2月28日から、コンテナ船にとって事実上閉鎖されたままだ。

要点

  • スエズ経由は航路単位の復帰。 ジェミニの西航初便は9月19〜24日の予定で、発表されたローテーションに日本の港はなし
  • ONEは喜望峰回りを継続。 日欧間のリードタイムは紅海ルートより約10〜15日長い(ジェトロの目安)
  • 減便(ブランクセーリング)は東西航路の11%。 9月14日〜10月18日に721便中79便(ドゥルーリー)、7月の定時運航率は56.4%で2026年の最低
  • 運賃は航路で逆向き。 WCIの上海→ロッテルダムは40フィートコンテナ1本あたり3,997ドルで前週比2%安、上海→ロサンゼルスは7,352ドルで2%高(9月10日)
  • 年内の規制期限。 9月30日EU ETS、10月5日CBAM証書価格、11月1日EU商品識別コード、11月9日米国港湾手数料、12月30日EUDR

スエズ運河経由の再開はどこまで進んだか

マースクとハパックロイドの共同発表(9月14日)によると、ジェミニはアジア・北欧州のAE5、アジア・地中海のAE11とAE12、インド・欧州のME2を喜望峰回りからスエズ経由に切り替える。西航の初便はAE11が9月19日、AE5が21日にタンジュンペラパスを、ME2が24日にコロンボを出る予定で、AE12は後日案内とされた。紅海の安定が続き、事態が悪化しないことが前提である。

日本の荷主にとっての要点は2つだ。発表された4航路のローテーションに日本の港はなく、日本発の欧州向け貨物はアジアの積み替え港でつなぐことになる(CargoDuoによるローテーションの読み)。そしてONEは、Linerlyticaの9月14日の分析でまだ紅海に戻っていない。ジェトロ(5月13日)の目安では、日欧間のリードタイムは紅海ルートで25〜50日、喜望峰ルートで40〜65日と約10〜15日違う。出港前にスエズ経由が確定しない船は、喜望峰回りの日数で納期を組むのが現実的だ。

状況はいずれも日付つき。紅海の入り口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡の通航量は、8月時点で危機前を大きく下回る(Xeneta)。

World Cargo NewsとMaritime Executiveによると、MSCは8月24日付のアドバイザリーで東西航路の4サービスのスエズ経由を一部再開した。Linerlyticaによると、コスコとOOCLはCMA CGMと共同運航する5航路で9月15日から東航のスエズ通航を始める予定で、アジア発西航の日付は出ていない。

スエズ経由への切り替えが取り消された例もある。gCaptainによると、マースクは2月27日、ME11とMECLの配船を「予期せぬ制約」を理由に喜望峰回りへ戻した。マースクもMSCも喜望峰回りの代替計画を残し、航海ごとに経路を変えられるとしている。

2026年9月の国際物流市況:運賃と減便は航路でどう違うか

運賃は航路によって逆に動いている。ドゥルーリーのWCI(9月10日)では上海→ロッテルダムが3,997ドル/FEUで前週比2%安となり、8月13日の4,425ドルから4週間で9.7%下がった(CargoDuoによる計算)。上海→ロサンゼルスは7,352ドルで2%高だった。日本海事新聞(9月15日付)によると、9月11日のSCFIは欧州航路が10週続落、中東航路は過去最高だった。

船腹は減便で絞られている。ドゥルーリーの欠航便トラッカー(9月11日)では、第38〜42週(9月14日〜10月18日)の東西航路721便のうち79便、11%が減便となり、太平洋東航が52%、アジア→北欧州・地中海が33%を占める。シーインテリジェンスによると、公表済みで最新の7月の世界の定時運航率は56.4%と前月から6.1ポイント下がり、2026年の最低だった。

日本の輸出額は伸び続けている。財務省の貿易統計では7月の輸出が前年同月比23.2%増、8月1〜20日の速報も18.0%増だが、7月の輸出数量指数は5.2%増にとどまる。航空貨物はWorldACDの集計で8月の世界の取扱量が5%増、中国・香港発欧州向けは14%減で、8月31日〜9月6日の週には貨物専用機の供給がアジア・欧州線から太平洋線へ移った。

欧州、中東・湾岸、トルコ、アジアで何が起きているか

欧州。 キューネ・アンド・ナーゲルによると、9月2〜8日のヤード使用率はロッテルダムのマースフラクテ2(APMターミナルズ)が約90%、ブレーマーハーフェンが88%で、ライン川カウプの水位は9月15日朝に28cmだった。ドイツの港湾賃金交渉は妥結しておらず(9月15日時点)、港、内陸輸送、PPWRの書類対応は欧州物流の現状(2026年9月)で扱う。

中東・湾岸。 マースクによると、ジッダ港とキング・アブドゥッラー港ではコンテナの引き取りとトラックの回転に時間がかかり(9月9日)、上湾岸の多くの港では貨物の種類ごとにブッキングが止まっている(9月11日)。緊急運賃と揚げ港の確認点はホルムズ海峡と中東向け物流(2026年9月)で整理した。

トルコ。 Container News(9月4日)によると、MSCは9月15日からアジア発の東地中海・黒海向け貨物に海賊リスクとスエズ運河のサーチャージを計91ドル/TEU課す。港の混雑、荷揚げ後のトラック輸送の軸重、EU規制への対応はトルコ物流の最新動向(2026年9月)にまとめた。

アジア。 中国は中秋節(9月25〜27日)と国慶節(10月1〜7日)の2度休み、日本はその直前の9月19〜23日がシルバーウィークにあたる。両国の暦と船積みの締切は国慶節2026の船積みで日付ごとに整理した。

運賃。 航路別の運賃指数の推移は海上運賃の相場(2026年)で追っている。

年内に来るEU・米国の規制期限はいつか

日付内容影響を受ける荷主対応
9月19〜24日ジェミニのスエズ経由の西航初便:AE11(19日)、AE5(21日)、ME2(24日)。AE12は日程未定アジア・インド発欧州向けの荷主ブッキング確認書が再発行されるたびに経路と到着予定日を確かめ、内陸輸送と倉庫の枠は修正後の到着日まで押さえておく
9月30日EU ETS:船社が2025年排出量の70%分の排出枠を納付(2026年分は100%、2027年に納付)納付義務は船社。欧州向けの運賃コストに関わる10〜12月の入札で、2027年分のETSサーチャージの算定方法を聞く
10月5日CBAM:2026年7〜9月期の証書価格を公表予定CBAM対象品をEUに輸入する事業者CBAMコストの試算を更新する
11月1日EU向け少額EC貨物の輸入申告で商品識別コード(EAN、ISBNなど)が義務化。7月1日からは任意EUに少額貨物を送る越境EC事業者申告データに商品識別コードを加える
11月9日米通商代表部(USTR)による通商法301条の港湾手数料の停止期限。延長がなければ11月10日から、中国系の運航・保有船、中国建造船、外国建造の自動車運搬船に課されうる。延長の発表は9月15日時点でなし中国関連の船で米国へ輸入する荷主11月10日以降に着く貨物で手数料が転嫁されるかを船社に確認する
12月30日EUDR:大企業・中規模事業者と、EU木材規則の対象だった零細・小規模事業者に適用。その他の零細・小規模は2027年6月30日EUDR対象の7品目をEUに輸入する事業者デューディリジェンス・ステートメントを用意する
表 年末までの規制・運航の期限(2026年9月15日時点)。注:いずれも変更されうるため、欧州委員会、USTR、船社の最新の発表で確かめたい。

荷主がいま手配しておくこと

  1. 9月30日までに、欧州向けの経路を船ごとに書面で出してもらう。 ブッキング確認書が再発行されるたびに到着予定日を見直し、出港前にスエズ経由が確定しない船は喜望峰回りの日数で納期を回答する。
  2. 9月14日〜10月18日の到着に余裕を持たせる。 アジア発の遠洋航路は少なくとも1週間、減便の週のブッキングはさらに週1便分を見込む(CargoDuoの目安)。中国発の貨物は9月24日までにターミナルへ搬入し、間に合わなければ次の窓は9月28〜30日になる。
  3. 10月1日より前に、10〜12月の契約条件を固める。 喜望峰回りに戻った場合の追加日数とサーチャージの負担を契約に書き、オールイン運賃では緊急サーチャージ、PSSなどどの項目が乗るかと、燃料サーチャージの算定日を確かめる。
  4. いま、機材を申し込み、フォーキャストを共有する。 リーファー、OOG、プロジェクト貨物は貨物の準備を待たずにブッキングの時点で機材を頼み、10〜12月の出荷見込みをフォワーダーと船社に渡しておく。
  5. ブッキングの前に、注文が何本に収まるかを積付計画で確かめる。 減便の週に1本多く手配すれば、ブッキング、積み残しのリスク、デマレージ・ディテンションの対象がそれぞれ1本分増える。本数はCargoDuoの積付計画で予約前に出せる。

よくある質問

コンテナ船はスエズ運河経由に戻っていますか?

航路ごとの部分的な復帰にとどまっています(2026年9月15日時点)。マースクとハパックロイドはAE11、AE5、ME2の西航初便を9月19日、21日、24日にスエズ経由で出す予定で、MSCも8月から4サービスで一部再開しました。一方、Linerlyticaによると、ONE、エバーグリーン、HMM、ヤンミンは9月14日時点で紅海に戻っていません。各社とも喜望峰回りの代替計画を残しています。

喜望峰回りだと、日本から欧州まで何日くらい余計にかかりますか?

ジェトロ(2026年5月13日)は、日本と欧州間のリードタイムを紅海ルートで25〜50日、喜望峰ルートで40〜65日としており、差は約10〜15日です。船社のスケジュールや戸口までの納期を約束する数字ではありません。9月14日〜10月18日は東西航路で79便が減便されるため、アジア発の遠洋航路ではさらに1週間以上の余裕を見込むのが無難です(CargoDuoの目安)。

年末に向けて、コンテナの船腹はいつまでに押さえておくべきですか?

何週間前という裏付けのある目安はなく、判断の軸は日付です。東西航路では9月14日〜10月18日に721便のうち79便が減便され(ドゥルーリー)、中国は9月25〜27日と10月1〜7日に休みます。中国発の貨物は9月24日までにターミナルへ入れ、間に合わなければ9月28〜30日が次の窓です。リーファー、OOG、プロジェクト貨物は、ブッキングの時点で機材を申し込むと安全です。

年内に日本の輸出企業が対応すべき海外の規制は何がありますか?

日付順に、9月30日のEU ETS(船社による排出枠の納付)、10月5日のCBAM証書価格の公表、11月1日のEU少額EC貨物での商品識別コードの義務化、11月9日の米国港湾手数料の停止期限、12月30日のEUDR適用です。ETSの義務は船社にありますが、欧州向けの運賃コストに関わります。米国の港湾手数料は、延長がなければ11月10日から課されるおそれがあります。

ホルムズ海峡はコンテナ船が通れる状態ですか?

2026年2月28日から、コンテナ船にとって事実上閉鎖された状態が続いています(9月15日時点)。ロイズリスト・インテリジェンスの9月9日の集計でも、8月末までコンテナ船の動きにほとんど変化はありません。湾岸向けの貨物は緊急サーチャージと陸送を組み合わせて動いており、マースクは9月11日の運航情報で湾岸各国向けの緊急運賃を示しています。

出所:マースク(ジェミニ4航路のスエズ経由への変更、2026年9月14日)、Linerlytica(第37週、9月14日)、ジェトロ(日本・欧州間のリードタイム、5月13日)、ドゥルーリー(WCI、9月10日。欠航便トラッカー、9月11日)、シーインテリジェンス(7月の定時運航率、8月26日)、Xeneta(9月9日)、World Cargo News(8月27日)とMaritime Executive(8月25日)、gCaptain(2月27日)、ロイズリスト・インテリジェンス(9月9日)、パナマ運河庁(9月4日)、WorldACD(9月7日、9月14日)、キューネ・アンド・ナーゲル(9月8日)、ver.diとZDS(ドイツ港湾の労使交渉)、ELWISと連邦水文学研究所(カウプ水位、9月14〜15日)、Container News(9月4日)、日本海事新聞(9月15日付)、財務省貿易統計(7月分は8月20日、8月上中旬分は9月8日公表)、欧州委員会、米通商代表部(USTR)、中国国務院の祝日通知(新華社、2025年11月4日)。WCIの4週間の変化率は、8月13日と9月10日の値からCargoDuoが計算した。2026年9月15日時点の情報。更新:2026年9月15日(初版)。誤りや古くなった数字に気づいたら知らせてほしい。確認して直す。

執筆者
CargoDuo Team
積付計画チーム
この著者の記事 CargoDuo Team

CargoDuoのチームは、コンテナ・トラック・パレットの積付を3Dで最適化するエンジンを設計したエンジニアと、輸入通関とバンニングの現場で年数を重ねた積付担当で構成される。