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トルコ物流の最新動向【2026年9月】ハブール国境の記録、メルシン港の予約待ち、EU規則の実務

トルコ物流は2026年9月、輸出の過去最高と湾岸向け海上ルートの縮小が同時に進む。トルコの工場から欧州・中東へ出す日本企業と、メルシン港揚げの輸入担当に向けて、9月15日時点の事実と年末までに手配しておくことを日付つきでまとめた。

欧州と湾岸を結ぶトルコの陸路と海路を、2026年9月15日時点の条件で整理した。

ルコ物流は2026年9月、3つの動きが重なっている。輸出の過去最高、湾岸向け海上ルートの縮小、EU向けの国境と規則の負担だ。トルコ商務省によると8月の輸出は235億ドルで8月として過去最高だったが、海路ではホルムズ海峡を通らなければ届かない湾岸市場への輸出が大きく減った。

2026年9月15日時点の要点。トルコの8月の輸出は235億ドル(前年同月比8.1%増)で、8月として過去最高(トルコ商務省)。イラク国境のハブールでは8月7日にトラック2,454台が出国し、今年の1日最多となった。マースクはトルコ発を含む契約貨物に、UAE向けは9月15日、クウェート・カタール・バーレーン・イラク向けは9月17日から1本500ドルの緊急サーチャージ(OCR)を加える。EUではPPWRが8月12日から適用中で、EUDRは12月30日に始まる。

要点

  • 8月の輸出は過去最高(トルコ商務省)。ただしトルコ自動車工業会(OSD)の集計で1〜8月の乗用車生産は19%減、自動車部品は10〜12月の納入数量の再確認が必要
  • UAE向け輸出は1〜8月で45.2%減、サウジアラビア向けは12.1%増(TİM集計)
  • マースクのOCRは1本500ドル、UAE向け9月15日、クウェートなど4カ国向け17日から。緊急運賃とは別の請求行
  • メルシン港で1社の荷揚げ枠が24日後(業界紙、9月7日)。運送業者団体は9月15日から3日間の運行停止を表明
  • カプクレ国境で9月14日に運転手の抗議。9月3日の出国待ちはハムザベイリ国境で11km(UND)
  • トルコの排出量取引制度(ETS)規則が8月27日に施行

トルコの輸出はどの市場で伸び、どこで減ったか

トルコ商務省の9月3日の発表では、8月の輸出は235億ドル(8.1%増)、輸入は287億ドル(10.5%増)。1〜8月の輸出は約1,850億ドルで、同じ期間として過去最高だ。

業種別と国別はトルコ輸出業者協会(TİM)の集計で、商務省とは基準が違う。TİMの1〜8月では自動車が約272億ドル(2.5%増)で最大、日本向けは4億2,380万ドル(11.8%増)だった。OSDによると、1〜8月の乗用車生産は45万8,169台で19%減った。トルコの完成車メーカーに部品を送る企業は、10〜12月の納入数量を納入先の生産計画と照らしておきたい。

湾岸向けは向きが分かれた。TİM集計の1〜8月でUAE向けは45.2%減、8月はクウェート向けが72.2%減、バーレーン向けが70.6%減。サウジアラビア向けは1〜8月で12.1%増えた。トルコのボラット商務相は9月3日、湾岸の約11カ国向けの急減は3月からで、4月以降は減少が深まっていないと説明した。

トルコ物流の現場:湾岸陸送、メルシン港、カプクレ国境

湾岸向けの陸送はイラク国境のハブールに集まる。ボラット商務相によると、8月7日(金)の出国トラック2,454台は今年の1日最多だった。TİMじゅうたん部門のイスケンデル・カプラン会長は8月14日、海上サービスが止まって湾岸向けの貨物が陸送に移り、運賃は1台8,000〜9,000ドルに達して車両も足りないと述べている。

海上では、マースクが9月11日時点でダンマン、ジュベイル、イラク発着のブッキングを止めている。サウジアラビア向けはジッダ経由で続くが、OOGはジッダ向けも受け付けていない。緊急運賃は20フィートドライ1本1,800ドル、40フィート3,000ドル。そこにマースクの9月9日付告知によるOCRが加わる。港ごとの詳細は中東・湾岸編に譲る。

アジアからの海上輸送では、マースクとハパックロイド(ジェミニ)が9月14日、AE5、AE11、AE12、ME2をスエズ経由に戻すと発表した。初便はAE11が9月19日、AE5が21日、ME2が24日の予定で、紅海地域の安定が続くことが条件だ。大半は喜望峰回りのままなので、日本発トルコ向けは本船ごとに経路を確かめたい。全体像は国際物流の市況(2026年9月)で扱った。

メルシン港では陸側の詰まりが報じられている。トルコの業界紙デニズ・ハベル(9月7日)によると、イズミルの物流会社が9月1日にトランジット貨物の荷揚げを申し込むと、示された枠は24日後だった。1社の事例で、港側の回答は出ていない。地元紙によると、メルシン運送業者協会は運転手の待機が約60日続いているとして、9月15日から3日間の運行停止を表明した。

欧州向けのトラックはブルガリア国境で待つ。業界紙カムヨヌムが伝えた国際運送業者協会(UND)のデータでは、9月3日13時29分の出国待ちはハムザベイリ国境で11km、カプクレ国境で1kmだった。9月14日にはカプクレで運転手の団体が抗議し、シェンゲン圏の「180日のうち90日」の滞在上限の緩和と通関待ちの短縮を求めた。欧州側の状況は欧州編にまとめた。

道路でEUに入る貨物のICS2申告は、ブルガリアとギリシャで1月1日から、ルーマニアで6月1日から必須だ(IRU)。中央回廊(カスピ海ルート)では、国土交通省が7月2日に実証輸送の参加事業者を選定した。そのルートには日本からトルコ向けが含まれる。

トルコ製品をEUへ出すとき、何がいつから効くのか

トヨタのサカリヤ工場のように、EU・トルコ関税同盟のもとで欧州へ供給する日系拠点の製品にも、EUの製品規則がかかる。EU包装・包装廃棄物規則(PPWR、規則(EU)2025/40)は8月12日から適用され、延期の法令は出ていない。包装の種類ごとに適合宣言書(DoC)と技術文書を用意し、型式・ロットなどの番号と製造者の名称・住所を表示する。PFASの上限は食品接触包装にかかる。

ドイツの包装登録機関ZSVRは8月12日、欧州委員会の改訂FAQを引いて、自社名や商標で包装品を売る企業がPPWR上の生産者になると説明した。EU小売のプライベートブランド品を作るトルコの工場には、日系も含め、小売側からデータ提出の依頼が来る。

EU森林破壊防止規則(EUDR)は12月30日から大・中規模の事業者に適用される。ヘーゼルナッツは対象外、木製家具と紙は対象だ。トルコは日本と同じく低リスク国だ。低リスク国に分類されると、EU側の輸入者は簡素化されたデューディリジェンス(リスク評価・低減は不要)で済む。ただし原産地情報は必要で、標準・高リスクや原産地不明の原料と混ざれば簡素化は使えない。皮革を対象から外す委任規則は、eudr.todayによると9月15日時点で官報掲載待ちである。

炭素国境調整メカニズム(CBAM)は2026年から本格適用に入り、鉄鋼、アルミ、セメントなどを年50トンを超えて輸入するEU側には認可が要る。証書の販売は2027年2月1日から。欧州委員会は8月14日、EU域外の事業者向けを含むCBAMガイダンス10件を出した(現時点で英語のみ)。トルコ国内では排出量取引制度(ETS)規則が8月27日に施行され、最初のモニタリング計画はおおむね10月27日が期限になる。

越境ECでは、EUが7月1日から150ユーロ以下の少額貨物に品目ごと3ユーロの関税をかけている。A.TRを付けたH1申告のトルコ品は特恵を保てるとボラット商務相が7月2日に述べたが、EU側の確認は出ていない。トルコ側の輸入手続きはジェトロのトルコ制度ページが詳しい。

最大積載量の内側でも軸重を超えるのはなぜか

メルシン港で予約が詰まると、揚げた貨物を国内のトラックに一度で積み替えて港を出たくなる。見落としやすいのが軸重だ。トルコの法律第7574号(2026年2月27日官報)は過積載の罰金を引き上げ、外国ナンバーの車両は罰金を納めるまで出国できない。

作例は、メルシン港からアンカラへ向かう13.6mカーテントレーラ(荷台1,361×247×275cm、最大積載量25,240kg、4×2トラクタ)への積み替えである。貨物は空調機器(室内機)のユーロパレット14枚(120×80×170cm、1枚310kg)とベアリング18枚(120×80×90cm、1枚1,150kg)。計32枚、25,040kgで、最大積載量までは200kg残る。アプリに設定した上限値は駆動軸11,500kg、トレーラ3軸24,000kgとした。

プロジェクト「メルシン港 → アンカラ」、軸荷重制限を適用しない計算。空調機器(室内機)14枚とベアリング18枚の32枚をすべて積載し、容積は41.54%。軸荷重パネルではトレーラ3軸が24,848kg/24,000kg(103.5%)で赤く表示され、駆動軸は9,174kg(79.8%)にとどまる。

軸荷重制限なしでは32枚すべてが収まるが、トレーラ3軸は上限を848kg上回る。重さは後ろの軸に偏っている。

同じ貨物で「軸荷重制限を適用」をオンにした計算。32枚中30枚を積載し、重量22,740kg、容積39.67%。トレーラ3軸は23,935kg/24,000kg(99.7%)、駆動軸は7,941kg(69.1%)。ベアリング2枚(2,300kg)は2件未積載と表示され、次のトラックに回す。

「軸荷重制限を適用」をオンにすると、積載アルゴリズムは各軸を上限の内側に収めて積み直し、30枚でトレーラ3軸99.7%に落ち着いた。最大積載量の数字は全量を積めると示したが、軸重はそれを認めなかった。

項目軸荷重制限なし軸荷重制限あり
パレット枚数32枚30枚−2枚
重量25,040kg22,740kg−2,300kg
トレーラ3軸24,848kg(103.5%)23,935kg(99.7%)−913kg
駆動軸9,174kg(79.8%)7,941kg(69.1%)−1,233kg
容積41.54%39.67%−1.87ポイント
未積載0枚2枚+2枚

どの2枚を次便に回すかは、港で積み替える前に決めておきたい。寸法と重量が揃っていれば、積付計画は数秒で出る。罰金の段階はトルコの過積載罰金の解説にまとめてある。

荷主がいま手配しておくこと

航路・拠点状況(日付)影響する期間対応
トルコ発UAE・クウェート・カタール・バーレーン・イラク向け(マースク契約貨物)OCRは1本500ドル、UAE向け9/15、ほか9/17から。緊急運賃は20ftで1,800ドル、40ftで3,000ドル(9/11時点)9/15以降10〜12月の運賃を請求行ごとに見直す。サウジ向けはジッダ揚げと陸送で組む
トルコ発湾岸向け陸送(ハブール国境)8/7に1日2,454台が出国(商務相)。1台8,000〜9,000ドル(カプラン会長、8/14)7〜12月確定注文分に絞って車両を押さえ、軸重を積込前に計算する
メルシン港の荷揚げ・搬出トランジット貨物で24日後の枠を示された1社の事例(9/7報道)。運送業者団体が9/15から運行停止を表明9月後半入港前に予約日とフリータイムを書面で確認する
カプクレ・ハムザベイリ国境(EU向け出国)ハムザベイリ11km、カプクレ1km(UND、9/3)。9/14に運転手が抗議10〜12月の繁忙期出発当日の朝にUNDの待ち状況を見る。運転手のシェンゲン滞在日数を11〜12月分まで確認する
アジア→トルコ・地中海の海上輸送ジェミニ4航路が9/19・21・24からスエズ経由の予定。大半は喜望峰回り9月下旬〜10月本船ごとにスエズ経由か喜望峰回りかを確認する
EU向けの木製家具・紙EUDRが12/30から適用12/30以降のEU上市分10〜12月の受注分から位置情報とデューディリジェンスのデータを集める
表 航路・拠点別の状況(2026年9月15日時点)。注:運賃とサーチャージはマースクの9月9日・11日付告知による1社の条件で、市場全体の水準を示すものではない。国境の待ち列はUNDのデータを伝えた業界紙の数字で、日々変わる。
  1. 9月17日まで:マースクと湾岸向けの契約がある荷主は、緊急運賃とOCRを別の請求行で見込み、10〜12月の販売条件を見直す。
  2. 9月中:トルコの完成車メーカーに部品を出す企業は、10〜12月の納入数量を納入先と確認する。
  3. 9月30日まで:メルシン港揚げの輸入貨物は、予約日とフリータイムを書面で取り、イズミル側への揚げ地変更の費用と日数も聞いておく。
  4. 10〜12月のEU向け出荷の前に:トルコの工場は包装の適合宣言書、技術文書、ロット表示を揃え、木製家具と紙はEUDR用の位置情報も集める。
  5. 10月5日と27日に向けて:鉄鋼・アルミ・セメントの輸出企業は、CBAM証書の7〜9月期価格(10月5日)とトルコETSの計画期限(10月27日ごろ)を日程に入れる。

今後1〜2カ月の見通し

いずれも9月15日時点の予定である。

  • 9月19日・21日・24日:ジェミニのAE11、AE5、ME2がスエズ経由の初便を出す予定。AE12は後日
  • 9月20日(日):トリエステからオーストリアへ抜ける鉄道、カルニアとタルヴィージオの間の運休がこの日まで
  • 10月1日(木)・5日(月):EUの鉄鋼輸入枠が10〜12月期に切り替わり、5日にCBAM証書の7〜9月期価格が出る
  • 10月27日(火)ごろ:トルコETSの最初の計画期限。28日(半日)と29日は共和国記念日の休み
  • 11月1日(日):EU向け通販の製品識別子(PID)が必須に。加盟国はITシステムが整いしだい、遅くともこの日までに通関取扱手数料を徴収するが、金額は未定
  • 12月30日(水):EUDRの適用開始
  • 日付未定:メルシン港の運行停止が実際に行われたか、カプクレ北側の新しい国境ゲート(9月11日に両国が予定地を視察)の時期

よくある質問

2026年のトルコの物流の最新状況は?

2026年9月15日時点で、トルコの8月の輸出は235億ドルと8月として過去最高です(トルコ商務省)。湾岸向けは海路でホルムズ海峡を通る市場への輸出が大きく減り、イラク国境のハブールでは8月7日にトラック2,454台が出国して今年の1日最多になりました。欧州向けではカプクレ国境で9月14日に運転手の抗議があり、EUのPPWRは8月12日から適用されています。

トルコ経由で中東やイラクに陸送するルートは使えますか?

使われています。トルコのボラット商務相によると、ハブール国境では8月7日にトラック2,454台が出国しました。TİMじゅうたん部門のカプラン会長は8月14日、湾岸向けのトラック運賃が1台8,000〜9,000ドルに達し、車両が足りないと述べています。確定した注文分に絞って車両を押さえ、軸重を積込前に計算しておくと、計量での足止めを避けやすくなります。

トルコからEUへのトラック輸送で、カプクレ国境の待ち時間はどれくらい?

国際運送業者協会(UND)のデータを伝えた業界紙によると、9月3日13時29分の出国方向の待ち列はカプクレ国境で1km、ハムザベイリ国境で11kmでした。9月14日に抗議した運転手の団体は、一部の国境で24〜100時間待つと主張しています。数字は日々変わるため、出発当日にUNDの情報を確認してください。

トルコで作った製品をEUに輸出する場合、PPWRやCBAMの対象になりますか?

対象になります。PPWRは8月12日からトルコ製品の包装にもかかり、包装の種類ごとの適合宣言書と技術文書、ロットなどの番号表示が必要です。EU小売のプライベートブランド品は小売側が生産者になるため、工場にデータ提出の依頼が来ます。CBAMは鉄鋼、アルミ、セメント、肥料、水素、電力が対象で、年50トンを超えて輸入するEU側には認可が要り、証書の販売は2027年2月1日に始まります。

中央回廊(カスピ海ルート)は日本からトルコへの輸送に使えますか?

国の実証輸送が進んでいる段階です。国土交通省は2026年7月2日、「中央回廊カスピ海ルートに関する実証輸送(春夏)」の参加事業者を選定したと発表し、ルートには日本からトルコ向けが含まれています。検討する場合は、実際の運行日数と接続をフォワーダーに確認してください。

トルコ国内のトラック輸送で軸重オーバーになるとどうなりますか?

トルコの法律第7574号(2026年2月27日官報)で過積載の罰金が段階的に引き上げられ、外国ナンバーの車両は罰金を納めるまで出国できません。3,500kg以下の車両と、セミトレーラを連結していないトラクタは計量の対象外です。罰金の段階と軸重の考え方はトルコの過積載罰金の解説にまとめています。

出所:トルコ商務省(2026年9月3日)、トルコ輸出業者協会(TİM、8月31日付の輸出統計)、トルコ自動車工業会(OSD、9月14日)、アナトリア通信(8月9日、9月11日)、トルコ官報(2月27日、8月27日)、マースク(9月9日、11日、14日)、国際運送業者協会(UND、カムヨヌム経由、9月3日)、デニズ・ハベル(9月7日)、メルシン・ハーキミエト(9月6日)、ドゥニャ(9月14〜15日)、İHA通信(8月14日)、欧州委員会(PPWR、EUDR委任規則7月13日、CBAMガイダンス8月14日、少額貨物関税)、ZSVR(8月12日)、eudr.today(9月14日)、IRU、国土交通省(7月2日)、ジェトロ。2026年9月15日時点の情報。更新:2026年9月15日(初版)。数字の誤りや古くなった情報に気づいた場合は、CargoDuoまでお知らせいただければ確認のうえ訂正する。

執筆者
CargoDuo Team
積付計画チーム
この著者の記事 CargoDuo Team

CargoDuoのチームは、コンテナ・トラック・パレットの積付を3Dで最適化するエンジンを設計したエンジニアと、輸入通関とバンニングの現場で年数を重ねた積付担当で構成される。