コンテナ運賃は、2026年8月の第3週を終えてもなお高値圏に張り付いている。業界で最も参照されるスポット指標であるDrewryの世界コンテナ指数(WCI)は8月13日、前週比1%上昇して40フィートコンテナ1本あたり4,339ドルをつけた。1年前のおよそ74%上の水準である。しかも上げ幅はすべて太平洋航路から出ている——アジア→欧州は逆に下げた。
要点。総合指数は4,339ドル/FEU。上海→ロサンゼルスが6,244ドル(前週比6%高)、上海→ニューヨークが8,706ドル(10%高)、上海→ジェノバが5,080ドル(8%安)、上海→ロッテルダムが4,425ドル(5%安)。アジア域内(IACI)は1,028ドルで6%高。Xenetaの集計では極東→北米東岸が1万ドルの大台を抜けて10,249ドル/FEU。9月中旬までに49便が減便され、ホルムズ海峡の通航は戦前水準を約70%下回ったままである。
指数はどこにあるか:Drewry、Freightos、Xeneta
Drewryの8月13日の評価は、もう一方向には動かなくなった市場を描いている。太平洋航路のスポット運賃は上げた——上海→ロサンゼルスが6%高の6,244ドル、上海→ニューヨークが10%高の8,706ドル。その裏でアジア→欧州は後退し、上海→ジェノバが8%安の5,080ドル、上海→ロッテルダムが5%安の4,425ドルとなった。船社はアジア→地中海で8月15日から適用の新しいFAK建値6,700〜7,100ドルを打ち出したが、Drewry自身が、弱まる需要でこの水準を支えきれるのかに疑問を投げかけている。同社は翌週の運賃をおおむね横ばいと見ており、東西航路の市場を「変動が大きい」と表現する。理由として並ぶのは、スエズとホルムズをめぐる安全上の懸念、パナマ運河の通航制限、台風ドルフィン通過後のアジア各港の混雑、そしてライン川の渇水である。
| 指数 / 航路 | 水準 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|
| Drewry WCI 総合 | 4,339ドル/FEU(前週比+1%) | 2026年8月13日 | Drewry |
| 上海→ロサンゼルス | 6,244ドル/FEU(+6%) | 2026年8月13日 | Drewry |
| 上海→ニューヨーク | 8,706ドル/FEU(+10%) | 2026年8月13日 | Drewry |
| 上海→ジェノバ | 5,080ドル/FEU(−8%) | 2026年8月13日 | Drewry |
| 上海→ロッテルダム | 4,425ドル/FEU(−5%) | 2026年8月13日 | Drewry |
| FBX01 中国→北米西岸 | 7,422ドル/FEU | 2026年8月6日 | Freightos |
| FBX11 中国→北欧州 | 5,084.60ドル/FEU | 2026年8月6日 | Freightos |
| 極東→北米東岸 | 10,249ドル/FEU | 2026年8月12日 | Xeneta |
| 極東→北欧州 | 4,909ドル/FEU | 2026年8月12日 | Xeneta |
Xenetaのデータは、この分岐をさらに鮮明にする。主席アナリストのピーター・サンドが記録した1週間は、北米西岸が14%高、北米東岸が13%高、その裏でアジア→欧州が5%安という週だった。8月12日には極東→北米東岸の平均が心理的節目の1万ドルを抜け、10,249ドル/FEUをつけている。中東の紛争が地図を書き換える直前、つまり2月末と比べると、極東→北米西岸のスポット運賃は271%高い。この1つの数字が、今年が海上輸送の値付けに何をしたかについての最も正直な要約である。
運賃を押し上げているもの
決定的な要因は中東の戦争と、それがホルムズ海峡にかけている圧力である。トルコ国際輸送業者協会(UTIKAD)によれば、戦前は1日あたり約130隻の商船が通っていたホルムズの交通量は2026年2月以降に崩れ、米国とイランの合意で動きがいくらか戻ったあとも、なお戦前水準を約70%下回っている。紅海とスエズの迂回がこれに重なる。喜望峰回りに振り替えられた本船はアジア→欧州のローテーションに10〜15日を上乗せし、その1日1日が海上から抜けた船腹量になる。
- 減便(ブランクセーリング)。 Drewryの欠航便トラッカーは、主要な東西航路で第34週(8月17〜23日)から第38週(9月14〜20日)までに49便の減便を数えている。欠航率は7%。内訳は太平洋東航が59%、アジア→北欧州・地中海が27%、大西洋航路が14%である。
- サーチャージの積み上げ。 船社は一般運賃値上げ(GRI)、ピークシーズンサーチャージ(PSS)、機器アンバランス料を層のように重ねている。そこへ燃料油価格変動調整金(BAF)の改定と、ホルムズのリスク再燃を受けて2026年8月からの適用が告知された緊急燃料サーチャージ(EFS)が乗る。
- 混雑と内陸の制約。 台風ドルフィン通過後のアジア各港の混雑、パナマ運河の通航制限、ライン川の渇水は、それぞれ供給連鎖の別々の地点で、使える船腹量を削り取っている。
- 需要側の押し上げ。 2026年6月11日から7月19日まで米国・カナダ・メキシコで開催されたFIFAワールドカップに向けた小売の在庫積み増しが、太平洋航路の荷動きを支えた。MSCはこれを受けて、2025年半ばに撤退していたTranspacific Pearlサービスを再開している。
- 関税の不確実性。 米国のSection 122に基づく一般関税と、Section 232の鉄鋼・アルミ関税は、買い手にタイミングを測らせ続けている。結果として発注は平らに流れず、波になって来る。
荷主の請求書と公表指数がかみ合わないのは、これが理由である。指数は土台であって、一般運賃値上げ、ピークシーズンサーチャージ、機器アンバランス料、燃料調整は、標準的な船社約款のもとでその上に積まれる。指数の水準では同じに見える2つの見積もりも、サーチャージ表を付けた時点でコンテナ1本あたり4桁ドルの差になりうる。だから比較すべきは運賃ではなく、荷渡しまでの総コストである。
タンカー、ばら積み、航空貨物
記録が出ているのはコンテナではない。タンカー側では、Financial Timesが伝えたArgus Mediaのデータで、湾岸→アジアの原油運賃が8月中旬に1バレルあたり15.22ドルまで上がった。Argusがこの航路の値付けを始めた2005年以降で最も高い水準である。原因はホルムズ海峡が事実上閉じたことにある。Argusの欧州運賃プライシング責任者ジョン・オレット氏は、これを海運市場で記録に残る最大の混乱であり、コロナ禍さえ影に押しやるものだと述べた。Reutersは8月13日、インドのReliance Industriesがバスラ原油200万バレルを積むVLCCを2,300万〜2,500万ドル、ワールドスケール1,200——基準運賃のおよそ12倍——で用船したと報じている。紛争前、同じ航海はWS 80〜90、金額にしておよそ200万ドルだった。
ばら積みはより静かで、より弱い。バルチック海運指数(BDI)は8月19日に39ポイント下げて2,776となり、7月31日以来の低さになった。ケープサイズ指数は4,376、ケープサイズの1日平均収益は39,684ドルである。対して航空貨物はコンテナの鏡像だ。バルチック航空貨物指数(BAI00)は8月17日までの1週間で0.2%しか上げていないが、前年同期比では19.2%高い。IATAのジェット燃料モニターによれば、ジェット燃料は年間で76.5%上がっている。荷主がどのモードに手を伸ばそうと、燃料とリスクのプレミアムはすでに値段に織り込まれている。
日本の荷主にとっての意味
日本の荷主が毎週見ているのは、この記事の前半で下げていた航路ではない。上げているほうである。北米向けは上海→ロサンゼルスが6%高の6,244ドル、Freightosの中国→北米西岸(FBX01)が8月6日時点で7,422ドル、Xenetaの極東→北米東岸は8月12日に10,249ドルと1万ドルの大台を抜けた。同じ東西航路の船腹を分け合っている以上、上海発のスポットが動けば、日本発の建値とスペースの取りやすさも遅れて同じ方向へ動く。さらに、Drewryが数えた9月中旬までの49便の減便のうち59%が太平洋東航に集中している。値段が上がっているだけではなく、便そのものが薄くなっている航路だということである。
もうひとつ、日本の製造業にとっての基準線はアジア域内航路にある。Drewryのアジア域内指数(IACI)は1,028ドル/FEUで前週比6%高。長距離航路に比べれば桁がひとつ小さいが、向きは同じ上である。部品や中間財を域内で回している荷主にとっては、この6%が毎週積み上がっていく。そして電機や自動車部品の荷主には、海が詰まったときに航空へ振り替えるという逃げ道が伝統的にあった。今年はその逃げ道にも値札が付いている。バルチック航空貨物指数(BAI00)は8月17日までの1週間で0.2%高と横ばいに見えるが、前年同期比では19.2%高い。原価側はもっと厳しく、IATAのジェット燃料モニターではジェット燃料が年間76.5%上がっている。海と空の両方が燃料とリスクのプレミアムを抱えているとき、荷主に残る調整弁は1つしかない——1本の箱にどれだけ積むか、である。
この混乱は近いうちに過ぎ去るものではない。すでに、より深く構造化した問題になっている。
業界団体側の読みはより慎重である。トルコ国際輸送業者協会(UTIKAD)のビルゲハン・エンギン会長は、ホルムズの通航が戻るにつれてスポット市場に緩みは出ているものの、それは「急落ではなく、段階的で波のある正常化」だと述べている。保険料は運賃より速く下がった。残っている差が、解けるのを待っているリスクプレミアムではなく、構造的なコストであることを示す事実である。Drewry自身も翌週の運賃をおおむね横ばいと見ている。日本の荷主にとっては、これがいちばん扱いにくい状態になる。待てば戻る暴落もなく、ヘッジすべき明確な上昇トレンドもなく、毎週測り直すしかない水準だけが続く。
荷主が今できること
ここまでの要因は、どれも荷主の机の上からは動かせない。動かせるものが6つある。
- 指数を週次で追う。 DrewryはWCIを毎週木曜に公表し、FBXとSCFIも同じ周期で更新される。1週間で10%動く市場では、四半期単位で置いた運賃前提は、その四半期が終わるはるか前に外れている。
- スポットと契約を分け、契約は指数に連動させる。 航路が1週間で18ポイント開く市場では、どちらの極も荷主を守らない。下限と上限を置いた構造なら、2027年に調整が来たときに市場に居ながら、いまの急騰を丸ごと払わずに済む。
- 4〜6週間前に船腹を押さえる。 9月中旬までに49便が減便されている状況では、積み残された1本のコストは、船社2社の運賃差より大きい。
- 指数ではなくサーチャージを積算する。 GRI、PSS、機器アンバランス、緊急燃料は基本運賃の上に乗る。比べるのは荷渡しまでの総コストであって、誰も請求しない数字ではない。
- 払うコンテナの本数を減らす。 FEUあたり4,339ドルの市況で、いちばん安いコンテナは予約しなかったコンテナである。容積と最大積載量のどちらが先に埋まるかが、必要な本数を決める。
- 第2の船社と第2のモードを、使える状態にしておく。 必要になる前に代替の値段を取っておくこと。ただし航空はもう安全弁ではない——BAI00は前年比19.2%高、ジェット燃料は76.5%高である。代替は「あるかどうか」ではなく「いくらか」で判断する。
リストの5番目は、荷主が単独で完全に握っている唯一の項目である。運賃は立方メートル単位ではなくコンテナ単位で建値が付く。だから使える容積の60%で出ていく箱も、満載の箱とまったく同じ金額を払う。容積と最大積載量のどちらが先に効くのかは、予約を入れる前に分かる——密度の高い貨物は箱が3分の2空いたまま重量の上限に当たり、軽い貨物はトン数を大きく残したまま容積が尽きる。どちらなのかを知っているかどうかが、コンテナ4本と5本の差になる。
見通し:2026年の締めと2027年
地政学の騒音の裏で、供給側は2年かけて積み上がってきた。コンテナ船の受注残は2026年3月に過去最高の1,180万TEU、1,350隻超に達し、現有船腹のおよそ34%にあたる。今年は150万TEU超が、2027年には300万TEUが竣工する。その上に180万TEUの「解撤されなかった船腹」が乗る。紅海の迂回が用船需要を強く保ったために、本来なら解撤されていたはずの老齢船が現役にとどまっているぶんである。Sea-Intelligenceは、名目船腹量を構造的な減速航行、港湾混雑、紅海危機が吸収した船腹、想定される解撤という4点で補正したうえで、市場が2027年に、2016年のコンテナ運賃戦争に匹敵する水準でピークを打つ循環的な船腹過剰へ向かっていると結論づけている。
2つの力は逆を向いていて、それが見通しの正直な要約である。地政学は実効船腹量を削ることで運賃をレンジの上端に留め、竣工スケジュールは貨物を探すことになる船を海に降ろし続ける。ホルムズと紅海が正常化すれば、吸収されていた船腹が戻り、調整は速く来る。正常化しなければ、船腹過剰は覆い隠されたままで、荷主はその覆いの代金を払い続ける。どちらに転んでも、計画上の結論は同じである。海上運賃は年に一度置く固定費ではなく、週ごとに測り直す変動入力として扱うしかない。
よくある質問
海上運賃の相場は2026年でいくらですか?
Drewryの世界コンテナ指数は2026年8月13日、40フィートコンテナ1本あたり4,339ドルで、前週比1%高でした。航路別では上海→ロサンゼルスが6,244ドル、上海→ニューヨークが8,706ドル、上海→ジェノバが5,080ドル、上海→ロッテルダムが4,425ドルです。運賃は航路ごと週ごとに大きく動くため、単一の数字はあくまでその時点のスナップショットです。
海上運賃はなぜ上がったのですか?
主因は中東の戦争とホルムズ海峡にかかる圧力、アジア→欧州のローテーションに10〜15日を上乗せする紅海・スエズの迂回、9月中旬までの49便の減便、港湾混雑、ライン川の渇水、そしてGRI・ピークシーズン・緊急燃料といったサーチャージの積み上げです。これらが実効船腹量を削るため、名目の船腹量が増えていても運賃は上がります。
北米航路(太平洋航路)の運賃はいまいくらですか?
Drewryの2026年8月13日時点で、上海→ロサンゼルスが6%高の6,244ドル/FEU、上海→ニューヨークが10%高の8,706ドル/FEUです。Freightosの中国→北米西岸(FBX01)は8月6日時点で7,422ドル、Xenetaの極東→北米東岸は8月12日に10,249ドルと1万ドルの大台を抜けました。2月末と比べると、極東→北米西岸のスポット運賃は271%高い水準です。
アジア域内航路の運賃はどうなっていますか?
Drewryのアジア域内指数(IACI)は2026年8月13日時点で1,028ドル/FEU、前週比6%高です。長距離航路より桁はひとつ小さいものの、向きは同じ上向きで、部品や中間財を域内で回している荷主にはこの上昇が毎週積み上がります。Drewryは翌週の運賃をおおむね横ばいと見つつ、東西航路の市場は変動が大きいとしています。
減便(ブランクセーリング)はどのくらい出ていますか?
Drewryの欠航便トラッカーによると、主要な東西航路で2026年の第34週(8月17〜23日)から第38週(9月14〜20日)までに49便が減便され、欠航率は7%です。内訳は太平洋東航が59%、アジア→北欧州・地中海が27%、大西洋航路が14%で、日本の荷主が使う北米向けに最も集中しています。
PSSやGRIとは何ですか。請求書が指数より高くなるのはなぜですか?
PSS(ピークシーズンサーチャージ)は需要が高まる時期に船社が課す割増で、2026年の太平洋航路ではおおむね300〜1,000ドル/FEUです。GRI(一般運賃値上げ)は日付を決めて一律に運賃を引き上げる措置を指します。いずれも標準的な船社約款のもとで指数運賃の上に、機器アンバランス料や緊急燃料サーチャージとともに加算されるため、請求書は常に公表指数を上回ります。
海上が高いなら、航空に振り替えれば安く済みますか?
2026年はそうなりません。バルチック航空貨物指数(BAI00)は8月17日までの1週間で0.2%高と横ばいですが、前年同期比では19.2%高い水準です。IATAのジェット燃料モニターではジェット燃料が年間76.5%上がっており、海にも空にも同じ燃料とリスクのプレミアムが乗っています。モード変更は、振り替え先に余裕がある間しか効きません。
海上運賃は今後下がりますか?
Sea-Intelligenceは、受注残が現有船腹のおよそ34%に達していることから、2016年の運賃戦争に匹敵する水準で2027年にピークを打つ循環的な船腹過剰を見込んでいます。中期的には下向きの圧力ということです。短期ではホルムズと紅海の動き次第で両方向に大きく振れるため、中期の見立てと週次の数字は分けて持つ必要があります。
出典:Drewry世界コンテナ指数および欠航便トラッカー(2026年8月13日・14日)、Freightos Baltic Index(2026年8月6日)、Xeneta(2026年8月6日・12日)、Financial TimesとReutersが伝えたArgus Media(2026年8月)、Baltic Exchange(2026年8月19日)、TAC IndexおよびIATAジェット燃料モニター(2026年8月17日)、UTIKAD、Sea-Intelligence。海上運賃は週ごとに動く——本記事の指数ブロックは、毎週木曜のDrewry WCIの新しい値に合わせて更新している。2026年8月21日公開。