40フィートコンテナの仕様書には67.7m³とある。しかし現場で積み切れるのは平均55m³。CBMの計算方法を正しく守っても、この12m³の差は消えない。どの請求書にも現れないまま、輸送のたびに支払われている損失である。
CBM(Cubic Meter)は貨物が占める容積であり、幅(m)×長さ(m)×高さ(m)で求める。cmで測った寸法なら、3辺を掛けて1,000,000で割る。見積書や現場では「立米(りゅうべい)」と呼び、船社やフォワーダーの書類では「M3」と書く。いずれも指すものは同じである。海上LCL、航空、国内路線便——運賃はどれも、貨物が何kgであろうと、まずこの数字で建つ。
以下で扱うのは計算式そのものではない。その式が現場のどこまで通用し、どこから通用しなくなるかである。
CBMとは何か——なぜ重量より容積で運賃が決まるのか
CBMは貨物の容積を立方メートルで表した数字である。国際輸送で運賃を決めるのは、実重量と容積の2つだけである。船社もフォワーダーも、大きいほうを採って請求する。
理由は単純で、船・トラック・航空機が売っているのはkgではなくスペースだからである。パレットに積んだ500kgの鋳物は0.5m³しか占めないが、同じ500kgでも紙おむつなら20m³になる。後者に高い運賃がつくのは、重量が上限に届くはるか手前で、容積のほうが先に船腹や荷台を埋めてしまうためである。
だからCBMに最も悩まされるのは、自動車の樹脂内装部品、空調機の室外機、半導体製造装置の筐体、緩衝梱包込みの電子部品、紙おむつや衛生用品——いずれも軽くて嵩張る貨物を出す荷主である。フォワーダーはこうした荷物を「メジャー勝ち」と言う。
CBMと容積重量、そして国内の「才」
CBMと容積重量は別物である。容積重量は、運送人が定めた除数で容積をkgに換算した課金用の数字である。航空なら縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷6,000で、1m³が167kg相当になる。CBMのほうは換算をかけない生の容積で、国際輸送の見積はこちらで建つ。一方、国内の路線便(特別積合せ)はそのどちらでもない。日本固有の「才(さい)」で建てる。1才は1立方尺、1辺およそ30.3cmの立方体で、約0.0278m³にあたる。逆算すると1m³=約35.9才、実務では「約35才」と丸める。才建て運賃は1才=8kgの慣行で重量換算するため、1m³=35才=280kg相当を実重量と比べ、重いほうで課金する。なお宅配便(宅急便など)は才ではなく3辺合計cmの「サイズ」建てで、これは別の体系である。才、R/T、÷6,000——日本の荷主は、この3つの容積課金体系を1件の出荷で同時に相手にしている。
CBMの計算方法と、誰もが踏む単位の落とし穴
基本の式は1行で足りる。
CBM = 幅(m) × 長さ(m) × 高さ(m)
ただし現場に届く寸法がm単位であることはまずない。cmで書かれた出荷指示、mmで書かれた図面値、海外の取引先から来たインチ表記——元の単位ごとに除数が変わる。ここを取り違えると、答えは100倍、ときに100万倍ずれる。
| 元の単位 | 計算式 | 計算例 | 結果 |
|---|---|---|---|
| メートル(m) | 幅 × 長さ × 高さ | 1.2 × 0.8 × 0.6 | 0.576m³ |
| センチメートル(cm) | (幅 × 長さ × 高さ)÷ 1,000,000 | (120 × 80 × 60)÷ 1,000,000 | 0.576m³ |
| ミリメートル(mm) | (幅 × 長さ × 高さ)÷ 1,000,000,000 | (1200 × 800 × 600)÷ 1,000,000,000 | 0.576m³ |
| インチ(in) | (幅 × 長さ × 高さ)÷ 61,024 | (47.2 × 31.5 × 23.6)÷ 61,024 | 0.575m³ |
| フィート(ft) | (幅 × 長さ × 高さ)× 0.0283 | (3.94 × 2.62 × 1.97)× 0.0283 | 0.575m³ |
荷姿が混在する場合の総CBM
寸法の異なるカートンが混ざる出荷では、品目ごとに計算して足し上げる。平均寸法で一括して出すと、品目が増えるほど誤差が積み上がる。
総CBM = (カートンA容積 × 数量)+ (カートンB容積 × 数量)+ ...
パレット貨物はカートン単位ではなくパレット単位で拾う。パレットの底面積×積み上げ高さ(パレット自身の厚みを含む)である。日本の標準であるT11型(1,100×1,100mm、JIS一貫輸送用平パレット)に1.80mまで積めば、1.1×1.1×1.8=2.178m³。欧州向けにユーロパレット(1,200×800mm)を使う場合は0.8×1.2×1.8=1.728m³で、同じ高さでも1枚あたり0.45m³違う。
実例:名古屋港から北米西岸へ、自動車内装部品100個口
愛知県の1次サプライヤーが、樹脂成形の自動車内装部品100個口を名古屋港(飛島ふ頭)からロングビーチ向けに出す。条件は次のとおり。梱包後の最外寸120×80×60cm、1個口あたりの総重量35kg、数量100個口。
ステップ1——カートン1個口の容積
(120 × 80 × 60)÷ 1,000,000 = 0.576m³
ステップ2——総CBM
0.576 × 100 = 57.6m³
ステップ3——総重量
35 × 100 = 3,500kg
ステップ4——密度の確認
3,500kg ÷ 57.6m³ = 61kg/m³
61kg/m³は、海上の1m³=1,000kgという建て方をはるかに下回る。典型的なメジャー勝ちであり、運賃を決めるのは重量ではなく容積である。FCLで出す場合も、機材を選ぶ根拠になるのは容積のほうである。
ステップ5——機材の決定
紙の上では、57.6m³は40ftDCの理論容積67.7m³に収まる。しかし内高は2.39mしかない。高さ60cmの箱は3段(1.80m)までで、天井までの59cmがそのままデッドスペースになる。実際に40ftDCへ積めるのは75個口で、100個口のうち25個口が積み残しになる。40ftHCは内高が31cm高く、4段目が立つ。100個口すべてが1本に収まり、充填率は75.5%になる。
理論容積は実効容積ではない
コンテナカタログのm³は、空箱の数学的な容積である。内寸はISO 668に基づき、Maersk、ONE、Hapag-Lloyd、MSCの機材仕様書もほぼ同じ値を載せる。ただし、その全部が使えることはない。パレットの脚、内寸で割り切れない荷姿、段積みの上限、ダンネージ、ウェート勝ちでの打ち切り——いずれも容積を食う。
| コンテナ | 内寸(長×幅×高) | 理論容積 | 実効容積 | 最大積載重量 |
|---|---|---|---|---|
| 20ftDC | 5.89×2.35×2.39m | 約33.1m³ | 25〜28m³ | 約28,000kg |
| 40ftDC | 12.03×2.35×2.39m | 約67.7m³ | 55〜60m³ | 約26,300kg |
| 40ftHC | 12.03×2.35×2.70m | 約76.3m³ | 62〜68m³ | 約26,000kg |
| 45ftHC | 13.56×2.35×2.70m | 約86.0m³ | 70〜76m³ | 約25,600kg |
| 13.6mカーテンサイダー(欧州陸送) | 13.60×2.48×2.70m | 約91.0m³ | 75〜82m³ | 約22,000kg |
40ftHCと40ftDCの違いは高さ31cmだけだが、容積では約8.6m³、標準40ftに対して13%増になる。軽くて嵩張る貨物でHCを取らないのは、そのまま運賃を捨てているのと同じである。ただし前述のとおり、背高はドレージ経路の制約とセットで判断する。
課金重量:海上・航空・国内でルールが違う
CBMが出たら、次は運賃が容積で建つのか重量で建つのかを見る。モードごとに換算のルールが違う。航空の除数6,000はIATAのTACTルール由来、海上LCLのW/M(Weight or Measurement)は在来船の時代から続く建て方である。
| モード | 換算ルール | 1m³の扱い | 課金の建て方 |
|---|---|---|---|
| 海上LCL(混載) | R/T(レベニュートン)=W/M | 1m³ = 1,000kg | メジャー(容積)とウェート(重量)を比べ、大きいほうを1R/Tとして課金 |
| 航空(一般貨物) | 容積重量、÷6,000 | 1m³ = 167kg | 実重量と容積重量の大きいほう |
| 国際宅配便(クーリエ) | 容積重量、÷5,000 | 1m³ = 200kg | 実重量と容積重量の大きいほう |
| 国内路線便(特別積合せ) | 才建て | 1m³ ≈ 35才 ≈ 280kg | 1才=8kgで才数を重量換算し、実重量と比べて大きいほう |
| 海上FCL(コンテナ単位) | なし | — | コンテナ1本あたりの固定運賃。CBMは「入るか」の判断にだけ効く |
同じ貨物、4通りの建て方
先ほどの名古屋の貨物から12個口だけを別の顧客に出すとする。容積6.912m³、実重量420kgである。
| モード | 計算 | 課金の基準 |
|---|---|---|
| 海上LCL | 容積6.912m³と重量0.42tを比べ、大きいほう | 6.912R/T(メジャー勝ち) |
| 航空(÷6,000) | 6.912×167=1,154kg(実重量420kg) | 1,154kg |
| 国際宅配便(÷5,000) | 6.912×200=1,382kg(実重量420kg) | 1,382kg |
| 国内路線便(才建て) | 6.912×35=約242才、242×8=1,936kg(実重量420kg) | 約242才 |
航空では420kgの貨物に1,154kg分の運賃がつく。容積係数は2.7倍である。梱包の見直しが倉庫の話ではなく財務の話である理由は、この一行に尽きる。国内路線便でも構図は同じで、実重量420kgの荷物が1,936kg相当として建つ。なおLCLは、1R/T未満でも1R/Tを最低として課金するのが通例で、端数を0.1R/T単位で刻むか1R/T単位で切り上げるかは混載業者のタリフによる。
CBM誤差の請求書:2つのプランを並べる
同じ100個口を、2つのプランで出してみる。海上運賃の基準には、Drewry World Container Indexが2026年8月6日に公表した40ftコンテナ1本あたりUSD 4,297の平均値を使う。
| プランA——実測なし | プランB——CBM+積付計画 | |
|---|---|---|
| 算出容積 | 「だいたい55m³」(目分量) | 57.6m³(実測) |
| 選んだ機材 | 40ftDC 1本 | 40ftHC 1本 |
| バンニング当日 | 25個口が積み残し → 2本目を追加手配 | 1本で積み切り |
| コンテナ本数 | 2本 | 1本 |
| 海上運賃 | 約USD 8,594 | 約USD 4,297 |
| 国内側の追加費用 | THC・ドレージ・CFS作業料がもう1本分 | なし |
| 納期 | 1件が次船まわし | 予定どおり |
| 差額 | — | 約USD 4,297の節約 |
1回の輸送で4,300ドルである。月4本出している荷主なら、年間で20万ドルを超える。しかもこの金額は、どの原価集計にも「CBM誤差」という科目では出てこず、「追加運賃」に紛れる。国内側も同じで、名古屋港圏のドレージは1本あたり概ね5万〜8万円(税別)、これにTHCとCFS作業料が丸ごともう1本分乗る。2024年問題を受けた改正物流効率化法が荷主にも積載効率の向上を求めている以上、この取りこぼしを放置する理由はない。
現場で多いCBMの誤り7つ
- 製品寸法で計算する。梱包材・ストレッチフィルム・コーナーパッドで、箱は各辺2〜4cm大きくなる。CFSでの検量がパッキングリストのCBMを上回れば、実測値に基づく追加請求になる。
- パレットの厚みを落とす。T11型は144mm。1,100×1,100mmで20枚なら3.5m³の差である。
- 平均寸法で一括計算する。荷姿が混在する出荷では、平均値は最大10%ずれる。
- 理論容積を実効容積と読む。67.7m³と書かれたコンテナに67.7m³は入らない。
- 高さの制約を無視する。箱の高さが内高で割り切れなければ、天井までの残りはそのままデッドスペースになる。
- 重量側の上限を忘れる。容積が埋まる前に約26tの最大積載重量に当たることがある。窯業製品、ガラス、鋼材ではウェート勝ちが先に来る。
- 容積重量を航空だけの話にする。国内路線便は才建て、海上LCLはR/T建て。どちらも容積で課金が決まることがある。
バンニング前、60秒の確認
- 寸法はすべて梱包後の最外寸か
- パレットの厚みと段積み高さを含めたか
- 総CBMは、選んだコンテナの実効容積を下回っているか
- 総重量は最大積載重量を下回っているか
- 密度(kg/m³)を出したか——メジャー勝ちか、ウェート勝ちか
- VGM(コンテナ総重量)の算定根拠と積付図はあるか、それとも容積の合計値だけか
手計算が破綻する条件
単一品目・単一荷姿なら表計算で足りる。次の3つのどれかに当たった時点で、手計算は必ずどこかで外れる。
- 多品種・多荷姿:荷姿15種類、明細400行。組み合わせの数が人手の範囲を超える。
- 重量と段積みの制約:重いものは下、天地無用は最上段、段積み禁止の指定、段数の上限、偏荷重の回避。どれも容積の式には入らないが、配置を決めるのはこちらである。
- 複数拠点の積み合わせ:降ろす順の逆に積まなければ、最初の荷卸しでコンテナを全部空けることになる。
この3つは、同時に解くべき1つの最適化問題である。3D積付計画ソフトが担うのはまさにここで、CargoDuoはERPやWMSから寸法データを取り込み、重量・段積み・天地無用・降ろし順の制約を自動で織り込み、現場がスマートフォンで開けるバンニング手順を出力する。
早見表:覚えておく6つの数字
| 値 | 換算 |
|---|---|
| 1m³ | 1,000,000cm³ |
| 1m³(国内路線便) | 約35才(1才=8kg換算で280kg相当) |
| 1才 | 約0.0278m³(1立方尺) |
| 1m³(航空) | 容積重量167kg(÷6,000) |
| 1m³(海上LCL) | 1,000kg=1R/T |
| 40ftDC → 40ftHC | +8.6m³(容積13%増) |
まとめ:CBMは数字ではなく判断である
CBMを正しく出すのは輸送の入口であって出口ではない。効いてくるのは、その容積をどの機材に、どんな並びで、どの制約のもとで積むかを決めた瞬間である。57.6m³は、積付計画があればコンテナ1本に収まり、なければ2本を要求する。容積の数字は同じで、請求書だけが倍になる。
よくある質問
CBMとは何の略ですか?読み方は?
CBMはCubic Meter(立方メートル)の略で、読みはそのまま「シービーエム」。貨物の容積を立方メートルで表した数字を指す。見積書や現場では「立米(りゅうべい)」、船社やフォワーダーの書類では「M3」と書かれることもあるが、いずれも同じものである。
CBMの計算式は?cmで測った場合はどう換算しますか?
CBM=幅(m)×長さ(m)×高さ(m)。cmで測った場合は3辺を掛けて1,000,000で割る。120×80×60cmの箱なら(120×80×60)÷1,000,000=0.576m³。総CBMは1個口の容積に個数を掛ける。mm表記なら1,000,000,000で割る。単位の取り違えは100倍、ときに100万倍のずれになるため、まず単位をそろえてから掛ける。
1CBMは何kgですか?船便・航空便・トラックで違いますか?
違う。海上LCLは1m³=1,000kgとして容積と重量を比べ、大きいほうを1R/T(レベニュートン)として課金する。航空は除数6,000で1m³=167kg、国際宅配便は除数5,000で1m³=200kg。国内の路線便は才建てで、1m³=約35才、1才=8kg換算のため280kg相当として実重量と比べる。
1CBM未満でも1CBM分を請求されますか?
海上LCLは通常、1R/T未満でも1R/Tを最低として課金する。それ以上の端数を0.1R/T単位で刻むか1R/T単位で切り上げるかは混載業者のタリフによるため、ブッキング前に確認する。航空の課金重量にも0.5kg単位などの丸めがあり、国内路線便も才数を切り上げて建てるのが一般的である。
CBMとM3(立米)は違いますか?
同じものである。CBMはCubic Meterの略で、書類上はM3(エムスリー)、現場では立米(りゅうべい)と呼ぶが、いずれも立方メートルを指す。1つの書類にCBMとM3が混在することもあるが、換算は不要。区別が要るのはCBMと容積重量のほうで、容積重量は容積を除数でkgに換算した課金用の数字である。
才数からCBMへはどう換算しますか?
1才は1立方尺、1辺およそ30.3cmの立方体で約0.0278m³。才数に0.0278を掛ければm³になる。たとえば350才なら350×0.0278=約9.7m³。逆に1m³は約35.9才で、実務では約35才と丸める。才建て運賃は1才=8kgの慣行で重量換算するため、1m³は280kg相当として実重量と比較される。なお宅配便(宅急便など)は才ではなく3辺合計cmの「サイズ」建てで、これは別の体系である。
40フィートコンテナには何CBM積めますか?
理論容積は40ftDCが約67.7m³、40ftHCが約76.3m³。ただし段積みの上限、内寸で割り切れない荷姿、ダンネージ、ウェート勝ちでの打ち切りがあるため、実際に積めるのは40ftDCで55〜60m³、40ftHCで62〜68m³が目安である。20ftDCは理論約33.1m³に対し25〜28m³。
パレットや梱包材はCBM計算に含めますか?
含める。CBMは梱包後の最外寸で計算するため、カートン、ストレッチフィルム、コーナーパッド、フタのはみ出し、木枠の桟、パレットの厚みはすべて内側に入る。パレット貨物はパレット単位で拾い、底面積×積み上げ高さ(パレット自身の厚みを含む)とする。T11型(1,100×1,100mm)に1.80mまで積めば1.1×1.1×1.8=2.178m³である。
コンテナ内寸はISO 668および船社の機材仕様書(ONE、Maersk、Hapag-Lloyd、MSC)、容積重量の除数はIATA TACTルールによる。海上運賃の基準はDrewry World Container Index(2026年8月6日)。スポット運賃は週単位で動くため、実際の数字は船社・フォワーダーに確認する。最大積載重量は船社と製造年で±500kg程度動く。国内費用の目安は国土交通省「標準的な運賃」および市場実勢に基づく参考値であり、いずれも税別。